読書録|『ガニメデの優しい巨人』

先日投稿した『星を継ぐもの』の続編、ジェイムズ・P・ホーガン著作の『ガニメデの優しい巨人』を今回は紹介する

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前作『星を継ぐもの』では、木星の衛星であるガニメデで発見された宇宙船から、太古の太陽系に謎の異星人種族ガニメアンが存在していることが判明した

今作では、なんとガニメアンの生き残りを載せた宇宙船が2,500万年の時空を経て、現代の太陽系に帰り着く。ハント、ダンチェッカーら科学者たちは生きたガニメアンと遭遇し、彼らとの交流の中で人類発祥の謎に迫っていく・・・というのが大きなあらすじである

 

前作同様、SFでありながらも現実とSFを織り交ぜた緻密な論理展開が為されており、やや冗長に感じるときもあるが、楽しんで読むことが出来た。特に、かつて木星と火星の間に存在した(※小説内の設定)ミネルヴァという惑星の成り立ちから、ガニメアンの気質や生物としての特徴を解説するシーンは、非常に納得感があり感心した

 

途中から登場する、ガニメアンが有する万能AI「ゾラック」もまた、良い役割を果たしてくれる。初めは言語の壁を取り払うことが主な機能であったが、地球言語を覚える中で文化も理解して、本当に人のような会話をし始める。なかなか味わい深いキャラクターだった

※昨今、生成AIが雨後の筍のように登場している。使っている感じ、現状プロンプトに対して一般論を返すことが限界のようだが、近い将来「ゾラック」のように文化・文脈を理解してまるで人のように冗談を言ったり、気を遣えるAIになるのかもしれない

 

物語の最後に謎が残されて終わったので、次作の『巨人たちの星』も早速読んでみようと思う。平和的で感動的な作品であり、読めば名作たる所以も分かると思うので、興味があればぜひ読んでほしい