読書録|巨人たちの星

ジェイムズ・P・ホーガンのデビュー作かつ代表作であり、ハードSFの金字塔『星を継ぐもの』シリーズの第三作目『巨人たちの星』を読了。ネタバレも若干含みつつ、感想を述べたい

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ハードSFのジャンルにふさわしくストーリー全体に科学的態度・科学的論理整合が取られている点に関して、『星を継ぐもの』『ガニメデの優しい巨人』とは同じものの、今作は、前作までとは大きく異なり”宇宙戦争”感を帯びた小説であった

 

あらすじは、「2,500万年前に惑星ミネルヴァから”ジャイスター”に脱出したガニメアンと、5万年前の惑星ミネルヴァにおける大戦争の生き残りの末裔であり、ガニメアンによって救出されジャイスタ―”系”に連れてこられたジュヴレン人が登場する。このジュヴレン人は、ガニメアンの庇護下で着々と文明を復旧・進化させ、一見ガニメアンに従っている風ではあったが、その実、寝首を掻くつもり満々であった。そこに気づいた、ガニメアンと地球人が協力して、何とかジュヴレン人を出し抜き、彼らを撃退する」といった感じである

 

誰かの生き死にが発生するわけではないものの、ジュヴレン人vsガニメアン&地球人の心理戦はなかなかリアリティがあってしびれるものがある。何にリアリティがあるかと言うと、ガニメアンのその生命の成り立ちから相手の裏をかくといった発想がなかなか出づらい状況を具に描き出し、その上でハント、ダンチェッカーら地球人が、戦争の歴史をたどってきた人類らしく、ジュヴレン人の心理を想像しガニメアンをサポートするシーン一連である。読みごたえがあって面白い

 

相変わらず、専門用語が多く登場するので難解なシーンもあるが、翻訳が素晴らしく基本的にはスッと頭に入ってくるので、関心あれば読んでほしい